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2019/04/28

はたらくおとなたち -第二回 株式会社上間フードアンドライフ 上間 喜壽さん-

みなさん、こんにちは!『はたらくおとなたち』では、社会人として働くみなさんに伺った、ご自身の仕事やそのやりがい、将来どんな人になりたいかといったお話を、読者のみなさんにお伝えしていきます。インタビュー後、お相手の方に社会人として働くご友人の方を紹介していただきながら、わ たしたちは多様な働き方を知る旅をしていきます。第2回目は、上間天ぷらの経営者、上間 喜壽(うえま よしかず)さんです。

 

プロフィール:

上間 喜壽(うえま よしかず)

株式会社上間フードアンドライフ 代表取締役

ユーアンドアイ株式会社 代表取締役社長

Cater4u 代表取締役社長

具志川高校卒業後、法政大学経営学部へ進学。「上間天ぷら」でおなじみの株式会社上間フードアンドライフの代表取締役のほか、県内で企業や団体向けのケータリングサービスを行うCater4uなどを展開している。

 

上間弁当天ぷら店ができた経緯について教えてください。

 

40年以上前から祖父が弁当屋を開いていたんですが、その後祖父母から私の両親へ暖簾分けという形で引き継がれ、今の「上間弁当天ぷら店」が出来ました。現在は、設立から17年、法人になってから10年目になります。県内に6店舗を構え、400種類を超える商品数を扱いながら、お弁当・惣菜の販売、行事商品や仕出し販売などを行なっています。

‥‥と言うと、ちゃんとした経歴のようにも聞こえるのですが、私が代表となって法人化したときには、会社の負債は約2億円。実は、華々しく家業を継いだとは言い難い経緯があります。大学を卒業してすぐ沖縄に戻り、会社の代表として働いていたので、就職経験もなかったですし、一つひとつ泥くさく仕事を覚えていきましたね。

 

上間さんの学生時代、就職活動の様子を教えてください。

 

法政大学の経営学部で東京には4年間いました。けれど、自分には東京は合わなかったですね。とにかく電車に乗りたくない。だから、大学にもなるべく行かない。そうなると、友達ができない(笑)。家にいるか、バイトをしているか。そのバイトでお金が貯まったら旅行に行って。ただただそんな学生生活でしたね。

就職は漠然と沖縄に戻ろうとしていたので、4年生の5月くらいに大学のキャリア支援課に就職活動のやり方を聞きに行ったんです。そしたら、「上間さん、就活は3年生からやるんですよ」と言われて‥‥。まだまだ学校終わってないですし、全然間に合うと思っていたので当時は純粋に驚きましたね。それから、夏休み前くらいに両親から弁当屋が忙しいから手伝って欲しいという連絡があって。元々、長期休みには実家に帰ってお店の手伝いはしていたので、地元にも戻れるし良いかなというくらいの気持ちでいました。ただ、その後大学卒業間近のタイミングで弁当屋の工場を作ったことをきっかけに税務調査が入って、結果約2億円の赤字を抱えることになるんです。両親の精神的ダメージも大きくて、このままだと家族が暮らす場所も働く場所もなくなってしまうし、自分の就職先もなくなってしまう。気が付いた時には、もう自分がやらざるをえないという状況でした。

 

 

2億円の赤字から、どうやって会社を立ち直したのですか?

 

仕事をはじめてからは毎日、弁当の仕込みをして、作って、レジ打ちして、配達に行って、掃除して、仕入れして‥‥。弁当屋さんなので朝が早くて。夜中の2時くらいに起きて仕事を始めて、夕方の5時くらいに現場での仕事が終わる。現場から戻ってきたら経営の勉強のために本を読んで、夜の10時くらいに就寝。働き始めてから半年間以上は1日も休みがありませんでした。大学生時代から生活は一変です。とにかく現場を回しながら、勉強をしつつ事業整理をしていたので、めちゃくちゃ大変で。結局、事業整理に目処がつくのに5年ほどかかりました。

とにかくがむしゃらな毎日でしたが、自分で工夫できるというおもしろみはありました。本が好きなので、いろんな本を読んで「いいな」と思ったことはすぐに実践で経営に取り入れてみる。大ハズレだった施策もたくさんありましたけどね(笑)。けど、仮説を立てて実証を重ねることで、だんだんと売上が上がっていくようになっていったんです。普通に働いていたら見えないようなお金の裏側のこともたくさん知ることができました。例えば、自分の人件費にいくらかかっているかなんて分からないですけど、経営という立場でも現場を見るから色々なことが分かる。働きはじめた当初は月4万円だった初任給が、成果と連動して増えたり失敗して減ったりしていくのは、まさにリアルなゲームという感覚で楽しかったですね。

年に2回くらい、上間家全員が現場に入ることがあるんですけど、その日は店舗の売上が15%くらい上がるんです。数字を知っているからこそ、現場のアクション一つ一つの意味や、重要性がわかるんです。ただ作業をこなすんじゃなく、そういう意識を持てるかどうかはすごい大切だと思いますね。詰まるところ社会ってリアルなシミュレーションゲームみたいなもので、一つ一つの仕事や作業について考えたことを検証し、しっかり結果で跳ね返ってくる場なんで。僕にとっては、そこが一番の面白さですね。

 

 

今後、実現したい目標を教えてください。

 

沖縄では人手不足というのが、今後さらに大きな環境要因の一つになってくると思います。そこに対して、どういう一手を出しながら経営というゲームのなかで立ち回るのか。自分たちの強みと弱み、環境を考えて戦略を立てていきたい。戦略っていうのはおもしろくて、会社は成長していくとできることが増えていく。例えば今年、大手のコンビニや百貨店が次々に県内に参入してきますが、僕たちも地元の大手企業とコラボすることになって、参入してくる企業と特等席で戦うことができる。それも、ここまで成長できたからこそ得られた舞台なんです。だからこれからも、一つひとつの仕事で仮説と検証を繰り返して、一歩ずつ事業を拡大していきたいですね。

あとは、沖縄発の強いブランドを生み出していきたい。今年、社内外の人を巻き込んで、天ぷらの再定義をしようという話が出ているんです。天ぷらって歴史も古くてみんなが知ってる国民食なのですが、意外とイノベーションがされていない。ファストフードやグローバルでもっと通用するかもしれない。そういう可能性を秘めた商品が、天ぷらだと思うんです。「沖縄天ぷら」という立ち位置を確立し、天ぷらという商品のイノベーションが沖縄から起きていったらおもしろそうだと考えています。

 

最後に、学生の皆さんにメッセージをお願いします!

 

自信のなさや不安を抱えて生きて欲しくないっていう思いはあります。楽観的に捉えて、一つひとつのプロセスを楽しんで欲しい。その方が、何事も結果うまくいくと思うんです。あるいは、うまくいくまで我慢するということなのかもしれないですけど。学生でも変にギラギラしてる人がいると思うんですけど、そういう人は自分に自信がないのかもしれません。例えば、起業するということが目的になって、手段と目的を履き違えてしまうと、あまり健やかじゃない。成功って何で判断するのか?儲かることが成功なのか?時価総額ナンバーワン以外の企業は負けなのか?自分が歩きたい道を見つけて、自分なりに自信を持って歩いていければいいと思うんです。そもそも人間そんな大した差はないですから(笑)。うまくいくかどうかなんて、運という差くらいしかない。逆に言えば、チャンスはそこらへんにもたくさんある。そこに気づくことができるかどうかが、運なのかもしれません。

だから仕事ってめっちゃラッキーですよ。お金だってもらえるし、自分次第でどんなチャレンジもできるわけですから。とにかく学生であれば、自分で生み出したものを世の中にぶつけるということをもっとやったほうがいいかもしれない。メリカリでモノを売るとか。そうすると、自然とプライシングやターゲットを考えるじゃないですか。学生のうちから、もっと自分の目の前で起きていることに興味を持ってみたら、意外なところにおもしろさが見いだせるんじゃないかと思います。

 

上間さん、いろんなお話をありがとうございました! まるで、社会がご自身にとっての実験の場だったり、遊び場のような感覚で働かれているんですね。そして、私たち自身もポジティブに、とにかく自分にとっての正解を掲げ挑戦してみる。そういうことの大事さを教えていただけました。

 

さて次回は、上間さんからご紹介いただいた、あのお方に取材させていただきます!次回もお楽しみに!!

 

記事を書いたメンバー

記事を書いたメンバー

松田 和幸

琉球大学生。トポセシアの広報担当。SNS運用や広告物の制作、取材・執筆を行いながら、沖縄県内のwebメディアでもライターとして活動する大学生。おもに就活生に向けた企業紹介記事を書き、他のwebメディアでは企画記事なども書いている。オモコロとデイリーポータルZが開催した『日本おもしろ記事大賞』という記事のコンテストで、審査員賞を受賞したことがある。