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2019/05/15

はたらくおとなたち -第四回 Shoe be 新崎一美さん-

みなさん、こんにちは!『はたらくおとなたち』では、社会人として働くみなさんに伺った、ご自身の仕事やそのやりがい、将来どんな人になりたいかといったお話を、読者のみなさんにお伝えしていきます。

インタビュー後、お相手の方に社会人として働くご友人の方を紹介していただきながら、わたしたちは多様な働き方を知る旅をしていきます。第4回目は、国際通り近くでShoe beというオリジナル靴のお店を経営する新崎一美(あらさきひとみ)さんです。

プロフィール:

新崎一美(あらさきひとみ)

エスペランサ靴学院という専門学校を卒業後、東京で靴メーカーに就職。パタンナー(靴のデザインを元に靴型を作る職種)として経験を積んだあと、沖縄で靴の販売職に従事。足に合った靴を提供できることの価値に気づき、Shoe beを立ち上げた。

 

はじめまして!早速ですが、 新崎さんのお仕事について教えてください。

Shoe beでは、「美しく、履きやすく」をテーマに、女性用靴のセミオーダーを行なっています。その中での私の仕事は、お店のテーマに基づいた接客と店舗運営です。

Shoe beは、セミオーダーという業態のため、お店にある靴の中から好きなデザイン・色の組み合わせをお客様自身に選んでいただきます。そこで、お客様がどんな状況で靴を履くのか、頻度や場面、もちろんサイズや体のことも伺いながら、その足に合わせた靴の構想をまとめることが私の役目です。構想をまとめた設計図のようなものを靴職人に渡して作ってもらい、できたものをお客様にお渡ししています。

他には、お客様が他店で買われた靴のサイズ合わせも行なっています。気に入った靴を買ったけど、持ち帰って履くと足に合わなかった、みたいなことってよくあるんですよ。だから完全に足に合わせられるわけではないですが、できる限り履きやすくなるように素材を伸ばすなどして調整することもお店としてやっています。

 

Shoe beを始められたのには、どんな経緯があるんですか?

はじめは、物づくりに携わりたいという気持ち一心で入学した靴の専門学校を卒業して、東京の靴メーカーでパタンナーとして働いていました。

その後、沖縄に戻ってくるのですが、そのときはもう靴関係の仕事はいいやと思って、ひとまず百貨店にアルバイトとして入りまして。ジュエリーの販売職で応募したんですが、配属されたのは靴の販売部門でした(笑)。 靴に関わってきた経験を活かしてほしいということだったんでしょう。

そうして、パタンナーとして靴をつくっていたところから、アルバイトという立場ではありましたが、接客をして靴を販売するという仕事に変わりました。すると短期間で、私を覚えてくれてリピートしてくださるお客様がどっと増えたんです。

それが何でだろうと考えると、私がしっかりとお客様の足に合う靴をおすすめできていて、お客様に納得していただけているからだと気づきまして。さらに自分の足にどんな靴が合うかは自分でもなかなか分からないことだし、そうした情報はけっこう求められているんだとも思ったんです。靴を作る経験もしてきたので、どうせなら売るだけじゃなく作るところまでやってみようと決めて、セミオーダーという業態でShoe beを始めました。

 

ご自身のお仕事に、どんなやりがいを感じていらっしゃいますか?

「履きやすい」「楽に履ける」って言っていただけたときに、このお店をやっていてよかったと思いますね。靴って洋服と違って体重が乗るものじゃないですか。女性は男性に比べると筋肉が少なく、それでもなんとか体を支えようとして、外反母趾などの足のトラブルにつながることが多いんです。だけどオシャレはしたい。でも痛いのは履けないという部分で悩んでる方が多いので、そういう方が「履いても痛くならなかった」とか「良かったからもう一回きたよ」って言ってくださると、とても嬉しいです。

印象に残っているお客様の話で言うと、前にお孫さんとディズニーランドに行くための靴を買いにこられた年配のお客様がいまして。その方はこういうパンプスを注文していかれたんです。

 

その方が旅行後に来店してくださって。「ここで買った靴で1日歩き回っても大丈夫だったよ!すごく楽しめた!」とおっしゃってたんですよ。そういうことが、自分のやりがいになってます。

足に合う靴を作るためには、お客様の足のサイズを測るだけじゃなく、どんな状況で、どのくらい履くのかも聞いておく必要があるんです。履き始めたあと靴がどう変形するかも考えて作るので。履いているうちに履きづらくなってしまうと意味がないですからね。

そうすると、自然にお客様がなんで靴を買いにこられたかという話になりまして。気持ちの切り替えをするために買いに来た、という方がけっこういらっしゃるんです。そういうお手伝いができるのも嬉しいなと思っています。

 

まさに「美しく、履きやすく」が実現されたエピソードですね!

他にも、自身とパートナーのご両親の介護を何年もされているお客様がいまして。いざ介護が終わって玄関を見たら、外行き用の靴がなかったとのことでいらっしゃったんです。Shoe beで靴を買っていただいて、この靴でお稽古事や買い物に行こうって楽しそうに話されている姿を見ると、やっぱり嬉しいですね。

あとは一人息子が東京の大学に進学することが決まって、自分の時間を楽しむために靴を買いにきたけど悲しい〜って泣きながら買いにこられたお母さんもいました。就職祝いで娘さんに靴を買いに来られて、その娘さんに子どもができて、子どもと歩けるようなスニーカー靴を買いに来られたということもあって。

いろんな方の特別な時間に関われるのが楽しみでやっているところもあります。ただ販売するだけじゃなくて、その方の生活に寄り添えるのが楽しいんです。

 

25年ほど靴に関わっていて思う、靴の面白さは何ですか?

女性の靴はとにかく足に合わない、というのが難しいところでありとても面白いところです。足って、骨、筋肉、腱で複雑に構成されているので、歩くたびに形が変わるんですよね。もちろん大きく変わることはないですけど、今日ぴったり合ってても明日には足に合わなくなるということもあるんですよ。

とくに女性は生理などで足がむくんだり細くなったり、体重によって足のサイズが変わったりするので合わせづらいんですけど、それでも8割か9割ほど合わせられれば満足はしていただけるんですね。長く歩いても痛くなりにくい靴にはなるので。しかしそれを、なるべく10割合う靴にしていくのが、なかなかできないけど面白いんです。

やっぱり女性の方って、自分が綺麗に見える靴を履きたいんですよ。そういう靴って、足の甲の部分がより広く開いてて肌色の部分が多く見える靴なんです。そうすると足が長く見えるんですが、一方でそういう靴は脱げやすいですし、つま先の部分が短くなるので形によっては履きづらくもなります。

 

お客様は綺麗で足が長く見える靴を履きたいけど、その要望だけを汲むと履きづらい靴になってしまう。こちらとしては履きやすい靴を履いてほしいので、それを一生懸命説明しながらどう折り合いをつけるかが今の仕事で一番面白いですね。

お客様と同じ目線でどういう靴がいいかを考えながら、お客様の意見を取り入れて、お仕事のときはこういう靴が、決めのデートのときはこういう靴が良いですよという情報もお伝えしつつ、どういう靴がお客様にとってベストかを考えるのはとても面白いです。

 

将来実現したいことはありますか?

近い将来では、台湾の靴屋さんとのコラボを実現したいと考えています。今年の秋頃できればと思っていて、今は台湾の靴メーカーさんとか革屋さん底屋さんなどを巡って開拓しているところです。日本の靴業界は廃れてきていて、靴職人は少なくなってるし、それに伴って革屋さんも加工屋さんも減ってるので、海外の靴屋さんとコラボしてかっこいい靴を提供していきたい、というかすぐにでもそれをやらなきゃいけないという感じです(笑)。

そして、ゆくゆくはサンダルのブランドを作りたいです。沖縄の素材で、沖縄のテイストを入れて、オシャレに履けるブランドを、です。沖縄のサンダルって、島ぞうりが有名じゃないですか。それ以外であんまり沖縄のサンダルとして有名なものはないので、島ぞうりに並ぶくらいのブランドを確立させたいと考えてます。

 

最後に、学生のみなさんに向けてメッセージをお願いします。

自分らしさをもちながら生きていくためには、やっぱり人と比べないこと、人のせいにしないことが大事だと思ってます。琉大に通ってたとき、親を理由に公務員を目指すと言ってる人が周りに多かったんですね。本当に公務員になりたいなら、選んだ先で楽しく過ごせるなら素晴らしいことですが、詳しく聞いてみると「とくに理由は・・・」という人がけっこういまして。もっといろんな選択肢をもってもいいんじゃないかなと思ってました。

専門学校に通ってた頃、私は東京で就職したくて、でも親は私に沖縄を出てほしくないと言ってたんですね。だから親に内緒で就活をして、内定をもらってから親に報告しました。直接言えなかったから手紙を書いて(笑)。 そしたら「受かったんならしょうがない」と許可をもらいました。もちろんこれは私の例で、どの家庭でも同じようにできるかと言われれば難しいかもしれませんが、まあ周りが何と言おうとまずは自分のやりたいことをやってみるのがいいんじゃないでしょうか。

あと、東京ではずっと靴を作る仕事をしていたんですが、就職した3つ目の会社では売り場も任されまして。当時の私は人としゃべるのがとても苦手だったので、すごく苦しかったです。最初は何もできないので隣の売り場の人を見ながら1年ほどやってるうちに、めちゃくちゃ楽しくなってきたんですよ。それで今はこんなにしゃべるかっていうくらいになりました(笑)。 Shoe beをやっていく上で役に立っていることも多いです。

自分は作るのが専門だから売り場には立たなくていいと思ってましたが、苦手だと思ってた接客は意外と自分に向いていました。はじめのうちは嫌だと感じることでも、楽しんでやってみてもらえるといいなと思ってます。

 

新崎さん、たくさんのお話をありがとうございました!取材中、ご来店されたお客様に接客されている様子を見ながら、Shoe beは靴を選ぶだけではなく理想の靴を作る場所なんだと感じていました。苦手かなと思っていたことでも何でも、楽しみながらやってみる。その結果、15年もお客様に愛され続けるShoe beがあるんですね。

 

次回は、新崎さんにご紹介していただいたあの方に取材させていただきます!お楽しみに!

記事を書いたメンバー

記事を書いたメンバー

松田 和幸

琉球大学生。トポセシアの広報担当。SNS運用や広告物の制作、取材・執筆を行いながら、沖縄県内のwebメディアでもライターとして活動する大学生。おもに就活生に向けた企業紹介記事を書き、他のwebメディアでは企画記事なども書いている。オモコロとデイリーポータルZが開催した『日本おもしろ記事大賞』という記事のコンテストで、審査員賞を受賞したことがある。