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2019/06/03

はたらくおとなたち -第七回 株式会社琉球オフィスサービス 代表取締役 藤本和之さん-

みなさん、こんにちは!『はたらくおとなたち』では、社会人としてはたらくみなさんに伺った、ご自身の仕事やそのやりがい、将来どんな人になりたいかといったお話を、読者のみなさんにお伝えしていきます。

インタビュー後、お相手の方に社会人としてはたらくご友人の方を紹介していただきながら、わたしたちは多様なはたらき方を知る旅をしていきます。第七回目は、株式会社琉球オフィスサービス代表取締役の藤本和之さんです。

プロフィール:
藤本和之

株式会社琉球オフィスサービス 代表取締役

大学在学中にカラオケボックスの店舗の経営をするも、半年で廃業。200万円の借金を抱えることに。その後、情報通信業界ではたらき、全国をまわりながら現地法人の立ち上げに携わる。2010年に株式会社琉球オフィスサービスを設立。ホームページ制作や、サイトの保守・運営などを事業として行なっている。

 

大学時代にすでにご自分で商売をされていたとのことですが、どのような経緯だったんですか?

高校生の頃から、バーやカラオケボックスでアルバイトをしていました。大学でも同じところではたらき続けていて。というか、アルバイトが楽しくて大学にもほとんど行かず‥‥(笑)。そしたらある日そこのオーナーさんから、僕がアルバイトとしてすごく頑張っているから、カラオケボックスを1店舗売却してあげるよという話になったんです。設備や諸々含めて200万円!完全に僕がオーナーで、運営とかも全部ということだったので、普通に考えたら破格ですよ。プレゼントくらいの価格です。そんなきっかけがあって、カラオケボックスで商売を始めることになるんですけど、売上とか利益とか経費とか、経営に関する知識なんてまったくなかったんですね。当然、半年くらいでお店は廃業。200万円がそのまま借金として残ってしまったんです。

まさかですよ(笑)。まさか、自分がお店を潰して借金を背負うことになるなんて想像もしていませんでした。当時、20歳か21歳。今の200万とは比べものにならないほど大きな額です。これは、一気に返さないといけないと思って、給料の良い京都の山奥の工場ではたらくことにしました。112時間、機械で鉄に穴を開け続ける作業。今でも仕事の中でつらいことはたくさんありますけど、慣れない環境でコミュニケーションも取れないし、このときが一番しんどかったかもしれないですね。結局、そこで一年弱はたらいて、借金を返済。ちょうどそれくらいのタイミングで、学生時代の先輩から紹介があって情報通信業の会社に勤めることになったんです。

とにかく人手が足りなくて、誰か根性ありそうなやつ呼んでこいみたいなことを全社員言われていたみたいです。僕自身はサラリーマンになるイメージなんて全然なかったんですけど、一度経験しておくのは悪いことじゃないかなと思って、長く勤めるというよりは、ちょっと経験だなと思って入ったのがきっかけですね。面接すらなくて、非常に軽い気持ちで入りました。

 

店舗経営に200万円の借金に工場勤務、いきなり壮絶な人生ですね。

僕は、すごく失敗が多い人生で(笑)。でも、失敗自体は僕にとってポジティブというか、今の自分にとってすごく役に立ってるんです。ふつう、失敗を避けたがるみたいな傾向があるのは分かるんですよ。例えば学生さんであれば、就職活動で失敗したくないとか。この会社に入りたいという思い以上に、損したくない。エライ目にあいたくないという雰囲気の人も比較的多く見えて。でも、失敗は失敗でそんなに悪いもんじゃないよというのが僕の考えです。

ある程度結果を出す人って、根拠のない自信があるじゃないですか。「俺は何やっても大概うまくやる自信がある!」みたいな。僕も完全にそうだったんですけど、これって、ある意味すごく大事なんですよ。自信と実力って、あまり比例する部分でもないと思っていて。大事なのはチャレンジ。チャレンジしないとありきたりなことしかできない。そこに必要なのが自信だったりするわけです。これは向こう見ずになるとか、いたずらに失敗を恐れましょうとかじゃなくて、どんなに優秀な人でもどんなに自信があっても、現実問題失敗はある世界なんだから、失敗のイメージを頭の片隅に持っておくことが大事なんです。独立だって数字で見たら、失敗する確率の方が高いわけです。 

今僕は自分で商売をやってますけど、過去の経験から、少なくとも僕程度の実力じゃ失敗は付いて回るぞということはよく分かったので。失敗が避けられないのなら、失敗の仕方をはじめにイメージしながらチャレンジする。致命傷にならない失敗の仕方とか、失敗しても全てがダメにならないようにチャレンジする。ちなみに、その後も僕は大きな失敗を何個もするんです。どれもその時はすごくしんどいですけど、今自分が経営をやっていて思うのは、それらの失敗なくして、今はないなっていうのは本心ですごく思います。逆に、もし失敗を避けていったら、その分成長の伸びも低くなったんじゃないかなって。

 

その後の失敗というのは?

京都での工場勤務の後に入った会社は当時ベンチャーなので、がんばって成果を出して、手を挙げればわりと何でもやらせてくれたんです。29歳くらいの頃、子会社の社長をやってみるかと言われて、やります!と。3社合わせて300人。それまである程度うまくいっていたので、俺だったらいけるだろうと思ってたんですけど、まったく通用しませんでした。それまでは、マネージャーという立場だったのが、経営者という立場に変わって、見なきゃいけない知らなきゃいけないことが2030倍に増えたんです。知識も足りない、実力も足りない、覚悟も足りない。12ヶ月間ずーーーっと通用しませんでしたね。最終的には1億か2億の赤字。初月から一年くらい経って、僕では無理ですって言って辞任させてもらったんです。

30人程度の組織で大きな失敗もせずにできていたので、変な自信はあったんです。でも、自分だわと。並の一般人だっていうことがよく分かって、事業部長に降格させてもらって、自分に足りなかったことをもう一度見つめ直しました。会計知識も、財務諸表のレベルでは税理士会計士さんがいらないくらい勉強したり。労務リスクや人事の法律みたいなところもものすごく勉強しました。

 

失敗があったからこそ、自分に足りないものが分かって、その穴を埋める勉強ができたんですね。

失敗しなかったらあそこまで勉強しなかったと思います。その一年後、今度は沖縄で現地法人をつくることになって、取締役として声をかけてもらえたんです。これは勉強し直したことを発揮するチャンスだと思って沖縄に来ました。そうしたら、勉強したことがものすごく活きて。一年前の経営者としての失敗がものすごく役に立ったんですね。

そこでようやく、経営者として通用するレベルになることができたのかなという実感と、沖縄のローカルのマーケットに可能性を感じて。それまでは独立したいと思ったこともなかったんですけど、沖縄でなら独立したいとはじめて思ったんです。失敗から反省を経て経営の知識もついて、今だったらできるかもしれないと思って琉球オフィスサービスを設立しました。

 

沖縄で独立を決めたときに、意識していたことはありますか?

正直、琉球オフィスサービスを始めるまでは、売上を立てることが最優先事項だったんです。だから極端な話、お客様にありがとうって言ってもらうという意欲も願望もなかった。でも、それじゃあダメだろうなと。自分自身が商売するとしたら、とにかくユーザーとスタッフに対して、僕たちの理念を体現できるようにしようと思いました。僕たちの理念が、沖縄で一番良い会社をつくる。もう少し分解すると、沖縄で一番良いサービスを提供し続ける。良いサービスじゃなくて、”最も良いサービス”です。だから、スタッフに対しても沖縄で一番良い待遇を準備するし、キャッシュフローでも沖縄のwebサービスでナンバーワンを取る。ユーザー、スタッフ、利益の3つで、沖縄のweb業界ではナンバーワンになろうという目標を掲げています。もしかしたらこの感覚というのは、東京大阪で商売してたらずっと持ってなかったかもしれません。

良い会社を作りたいという理念は、僕の願望でもあるんですけど、ただお金を稼ぐだけだったら多少はできる自信はあるんです。それは前職で徹底的に叩き込まれたので。でも、本当にお金だけでいいんだったら、オレオレ詐欺でもいいのかと言われたらそうじゃない。僕にも子どもがいますし、スタッフにも子供がいる。子どもが今日食べてるご飯や、誕生日プレゼントはお客様からいただいたお金で全部買っているわけじゃないですか。だから、お客様がどういう気持ちでお金を払っているかって、すごく大事だと思うんですよ。どういう質のお金で自分たちが暮らしているのかを考えると、良い会社っていうのは綺麗事じゃなくて。もし、子どもが育ってパパの会社を検索したら、関連ワードに「詐欺」「ブラック」「許さない」とか並んでいたら嫌じゃないですか(笑)。逆に、誇りに思ってくれるような会社でありたい。僕がそう思うということは、スタッフもみんなそうだと思うんです。良い会社って言われたいのは社会貢献とかの話じゃなくて、個人の願望として、そういう会社、そういうお金で生活して、子どもを育てていきたいという話なんです。

 

最後に、これを読んでいる人たちに向けてメッセージをお願いします!

冒頭にも言いましたけど、失敗はあまり避ける必要はないんじゃないかなと思います。カラオケボックスの商売で大失敗して200万の借金をしたり、自分でできると思って手を挙げて始めた社長の仕事で2億近い赤字を出したり。利益がショートしたんじゃなくて、完全に赤字。当時は相当ヤバイぞって思ったんですけど、今振り返ると死ぬレベルじゃない。200万も一年死ぬ気で働けば返せるレベルのものですし、2億だって当時の会社からしてみたら誤差みたいな数字なんですよね。あまりにその人の身の丈を超えたチャレンジって、したくてもできないようになってる。人生狂うほどの失敗なんて、やりたくてもなかなかできない。そのリスクはとってもいいレベルだと思うんです。12年は苦しむかもしれないんですけどね‥‥(笑)。

採用に応募してきた学生さんと面接で喋っていると、失敗したくないというのが透けて見えるんです。だから置きにいってしまう。ちょっともったいないというか、チャレンジすると得られる物もすごく大きいと思うので、目一杯ストレッチして欲しいなとは思います。若いうち、特に独身なら、成功確率は五分五分で充分だと思うんですよ。成功したらそれはいいし、失敗してもそれはまたいいことだと思うので。僕にとっては、そこでチャレンジしないリスクの方が大きく見えてしまう。みんながみんな成長志向でもないと思うので、そうじゃない生き方もたくさんあると思いますけど、若いうちにチャレンジして失敗を繰り返しても悪い人生にはならないですよ。

藤本さん、ありがとうございました。失敗はマイナスな出来事じゃない、チャレンジせずに成長のないリスクをとるか、チャレンジすることでしか得られないものを獲得するリスクをとるのかという話には何度もうなずいてしまいました。

さて、次回はどんな方にお話をお聞きできるのでしょうか。今から楽しみです!みなさん、次回の記事も是非読んでくださいね!最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

記事を書いたメンバー

記事を書いたメンバー

松田 和幸

琉球大学生。トポセシアの広報担当。SNS運用や広告物の制作、取材・執筆を行いながら、沖縄県内のwebメディアでもライターとして活動する大学生。おもに就活生に向けた企業紹介記事を書き、他のwebメディアでは企画記事なども書いている。オモコロとデイリーポータルZが開催した『日本おもしろ記事大賞』という記事のコンテストで、審査員賞を受賞したことがある。